□飲めないからさ
いいことがあったわけでもなく、嫌なことがあったわけでもない。
何か前進したこともなく、後退したこともない。
取り立てていい天気でもなく、悪い天気でもなかった。
そんななんでもない1日が終わる。
将来思い返すこともないだろう1日が終わる。
母親に会った。
齢61になっても働かせてしまっている母親に会った。
相変わらず元気で、良い笑顔で、良い母親だった。
そして多分、無理してくれてるんだなぁって思った。
どうやら70歳まで今の会社で働いてくれとか言われてるらしい。
本人は「いつまで働かされるんだ」なんてぼやいてたけど、会社に必要とされてることに喜びを覚えているのは知ってる。
無理をしてほしいわけじゃないけど。
親孝行って何?
旅行に連れてくこと?食事連れてくこと?働かせないこと?家を建ててあげる事?孫の顔を見せてあげる事?
価値観は人それぞれだ。
お金が全てだと思うなら、そうすればいい。
ただ僕は違う。
大阪に住む長男の息子が中学生になったらしく、詰襟姿の写真を母へ送っていた。
母がA4用紙にプリントアウトしたその写真を、ニヤニヤしながら僕に見せた。
「本当、そっくりよねぇ。」
息子と孫の顔がそっくりなことを無性に喜ぶ母。
その顔はとても幸せそうだった。
これも一つの親孝行なんだなぁって思った。
遠く暮らす母への贈り物。自分とそっくりな息子の写真。
子供どころか結婚もしてない僕にはできないことだ。
さて、僕はどうしようか。
「『一国の城を築いてほしい』そんな想いを込めてつけたのよ」
じゃあ後5年くらいは元気でいてもらわないとだな(笑)
でも、とりあえずご飯でも行こうか。
俺、飲めないからさ。
じょーざぶろーでした
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